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マニラでのソーシャルワークとの出会い記録から、日本のソーシャルワーク×多文化/法的支援、インドで暮らし、働き、旅するカラフルさ、インド&野草ごはん、身体を解すこと、レジリエンス/回復についての試行錯誤を記録したく。 私もあなたも、ゆるく受けいれて生きていけるといいなと祈りながら。

ことばが通じなくても大丈夫! 学級担任のための外国人児童生徒サポートマニュアル 


ことばが通じなくても大丈夫! 学級担任のための外国人児童生徒サポートマニュアル 
臼井 智美 (著)

 

初めて外国につながる子の支援にふれる人向け。
特に、学級担任(国際教室の担当や日本語のプロではないけれど、子どもとの接点が一番多い大事なひと)に一つひとつ、順を追って説明しているのがよいです。
サポートマニュアル、の名の通り、内容も具体的。
私は特に、成人への日本語指導と、子どもへの日本語指導の違い、がささった。
違いを書いているけれど、共通して考察できる面もあるな、と思う。

■大人とはちがう!児童生徒への日本語指導p109
①学習の動機がない…!!!
(確かに、そうだよね。親の事情で来てるのがほとんどなわけで、好きで日本に来たわけではない。。)
②思考の基盤となる第一言語が十分に習得されていない
→直説法で指導になる
③言語力とともに、思考力や学習力の育成が必要
語学に留まらない!だからやることも多いけど、おもしろいかもしれない。
本当は成人ももっと包括的かも?
日本人の外国語学習に当てはめるとどうなんだろう?

④必要な語彙や学習の順序が、大人の学習者と異なる
大人は、日常生活で必要な会話を学んだり、体系的に文法学習をしたりするが、児童生徒の場合は、【学校生活で必要になる単語や文章】が優先。
~~しましょう、など。

■指導にあたって確認しておくこと?p111
①生徒徒歩誤差の母語、家族の文化的背景(→教科の習い方、習う順序も違う)、家庭内言語
②生徒の日本語習得状況
③生徒の来日時期、帰国予定時期
帰国予定時期、分からないことも多い気がするが。
ダブルリミテッド(第一言語が思考の基盤言語として身につく前に、第二、第三言語をあいまいに習得する状態)かどうか?
思考の基盤となる言語として第一言語を獲得するのは10歳くらいと言われている。
→小学校の英語導入は効果的なのだろうか?インド人、複数言語を習得していると思うけど、タイミングはどうしてるのだろう?方言と標準語は?小学校から、標準語習うけど、混ざることはない。方言と標準語は差が小さいからかな??
小学校低学年→思考の基盤となる言語が、母語でも身についていない→「訳す」、という支援は教科学習においてあまり効果がない
中学生→母語を基に、母語で訳しながら教科学習に参加するので、「訳す」支援も有効

■7種類の指導p10
1)適応指導[初期のみ。~3か月]
2)初期指導型日本語指導[初期のみ。~3か月]
【ねらい】日常会話の習得:ひらがな、カタカナ、簡単な漢字
3)教科指導型日本語指導[3か月~]
【ねらい】学習言語力習得。4)教科指導に近いが、教科目標+日本語の目標も達成を目指す。
4)教科指導 & 5)生徒指導:日本人と変わらない
6)進路指導:日本人より早い。編入学時から、小学校中学年から高校進学を視野に入れる。(高校受検に必要な日本語力獲得には4年かかると言われている)
*システムの違いを丁寧に説明。落第がないこと、入試があること、在県外国人特別枠(自治体による)、入学時にまとまったお金がいること
7)母語・母文化指導

■日本語で学ぶ力~教科指導型日本語指導p152
教科指導を通じて日本語で学ぶ力(思考、表現など)を育成
日本語で学ぶ、という考え方:文科省の開発したJSLカリキュラムに基づく。(Japanese As a Second Language)
教科学習と日本語学習の統合。→学ぶ力の育成 
学習言語の力をつけることは、母語が日本語である生徒にとっても重要性高まっている。
*「日本語(教育)学」と「外国語学習」も統合すると面白いかも。→「学ぶを支援する力」を育てる

*最近、友だちに教えてもらった、発達のことも思い出す。
・言葉にするには、言いたいことを表す言葉を、言葉の引き出しから検索して、出してくることが必要。そのためには、集中力がいる。多動の子とかは、集中するのが難しいのでもどかしくなる。興味のある分野だと、集中しやすい。
・言葉を育てる前に、体を動かすこと、遊ぶこと、がとっても大事。そのベースがあっての、ことば。

■学習活動に参加するための3種類の日本語の目標p152~
①教科書に出てくる言葉の意味が分かる、体得する(日常言語と違う使われ方も多々ある。Ex:天下を「とる」、サイコロを「ふる」、100グラム「あたり」200円。足す、引く、掛ける、割る、など。
②ある表現を習得して、自分の意見や思考のプロセスを言う、書くことができる。
③語彙を増やす→表現力を育てる

■分かりやすい授業づくり→わかりやすい普段の話し方、会議でのプレゼン、などにも当てはまる。(耳が痛い)
①文を短く
②あいまいでない単語を選ぶ
③言い換えをしない。余計な発言を削る。聞くだけで精一杯なのだから、大事なことだけ言う。


■役割分担
○日本語指導員(日本語の専門家。教員免許は問われない)
適応指導、初期指導型日本語指導
○日本語指導担当教員(教員免許あり、日本語指導について専門性はないことが多い。。)
初期指導型日本語指導、学級担任と日本語指導員、母語支援員を「つなぐ」
つなぐので、情報収集力や観察力がいるけれど、希望して日本語指導担当になるケースは少ないし、雇用形態もよいとはいえないことが多いのが悩ましいポイント、、
ともかく、抱え込まないのが大事と思われる。
○学級担任/○教科担任 →こちらも、抱え込まずに周りを頼るのが大切。
母語支援員

■不安を取り除き自己肯定感をはぐくもう!
チェックポイント
□イライラする前、叱る前に、生徒の気持ちを想像する
□学校、家庭などの中に外国につながる生徒の居場所があるか確認する
□生徒が安心して過ごせる居場所づくりに配慮する
□かれらの家族の居場所づくりもサポートする
これ、外国につながる子にかかわらず、普遍的に大事なポイントだな~
・無気力、消極的、攻撃的、にみえるかもしれないけれど、叱られ続けてきたのかもしれない。日本語も勉強も、できないことだらけ!の時間を過ごしている。伸びるか伸びないかは、恐ろしいほどに!教員の言葉かけや表情に左右される。

■学習目標をもつ
 短期目標:初めはいいけれど限界がくる
 長期目標:意欲を引き出す
 その前に自分の目標なんだろうとか思っちゃうけど!

■長続きしない歓迎ムード、、
編入当初は歓迎ムードだが、だんだんけんかになったり、無関心になったり。
思い通りにいかない。自分と違う。というのが背景として挙げられている。
ほんとかな?お互いのこと知ろうとすればつづく?
一緒に働く、グループで課題をやるとか。
*言いたいことが言えない、何を言っているのかわからない、という言葉の壁は確かに大きい。そこでひっかかると、ちょっとあきらめの気持ちがでてきてしまうのも、感覚的にわかる。。説明しても伝わってない、かみ合わないと、ちょっとストレスになる。お互いに。表現したカードとか
※出身国だからその国に詳しいとは限らない。人前で発表するのが好きとも限らない。

学生の頃にフィリピンの子たちに学校の授業に入り込んだり、放課後取り出して宿題や日本語をやるのを手伝っていたけど、その時にこれ読んでたらよかった~~!
日本語とか、学ぶこととか、解像度高く見ると発見や考えるポイントがいろいろあって、なるほど!って思う。