Just Living Diversity

マニラでのソーシャルワークとの出会い記録から、日本のソーシャルワーク×多文化/法的支援、インドで暮らし、働き、旅するカラフルさ、インド&野草ごはん、身体を解すこと、レジリエンス/回復についての試行錯誤を記録したく。 私もあなたも、ゆるく受けいれて生きていけるといいなと祈りながら。

教育相談対応のポイントをふりかえって考えてみる

尊敬している相談スタッフさんが相談対応されているところを、
まるっと1件ご一緒することができた。
別の相談対応されていて、途中まで私も代わりに入っていた。
気付いたことのメモ、自分が受けていて感じたことのメモ。


●:自分が感じたこと、気づいたこと、できたかなと思うこと
*相談スタッフの対応を見ていて、まねしたい、 すごいなと思ったこと


●1●ある程度ざっくり聞いた後に、この相談がどういう方針で、 今日の相談のゴールがどこになるのかが、 すぐに頭に浮かんでこなくてちょっと焦った。


・相談者(とある教育機関の先生だった) の自団体で抱え込まずに他の社会資源も巻き込んでいく必要性と、

相談対象者本人(南米から来た子) と一緒に改めて相談に来てもらえるとよさそう、 というところまでは浮かんで、

それは相談スタッフさんのその後の対応とも一致していたので、 良かったと思った。


*1-1*でも、その伝え方の視点がなるほど、と思った。私は、 すべて自団体でやるのは、得意なところ、 そうでないところがある、限界もあると思うので、 抱え込まずに他の社会資源にも頼るのが良いと思う、 という伝え方をしたけど、

相談スタッフは、それに加えて、

色んな人と関わる、出会うことが、 子ども自身にとっても良いこと、という伝え方をされて、「 相談対象者のために、相談者と共に何をしていけるか」、 という角度で話されていて、なるほど!と思った。


*1-2*ある程度お話を聞いた時点で、「枠組み」 を提示されていた。


*1-2-1*その子の現状の把握とゴール設定が大切:
現状→日本語、母語それぞれのレベルの確認
ちょっと背景を聞いただけでだいたい推察できるのがすごい…)


私も言語状況についての確認はできたが、 そこからどういう日本語支援がいいのか、 高校生世代なら母語が発達しているからそれを活用する、 というところまでは情報提供できてなかった。


あと、 漢字に対する抵抗感がたとえば日本人がアラビア語をやるようなも ので、

最初は母国で勉強できていたことも、 言語の壁のせいでできないことで無力感を感じる、みたいな、

想像しやすい伝え方はさすがだなと思った。

その教育機関での勉強する時間帯も、何時から何時までなのか「 具体的」に聞かれていた。


*1-2-2*ニーズ/ゴール設定をを細分化すると:
適応、日常会話の日本語

→学習のための日本語( 日本語で日本語を学ぶ)・学習内容


こういう枠組みを、先生向の本を活用して説明されていた。

この枠組みのことも、本のことも知っていたのだけど、 それがこの相談者の方への説明に使える、 と自分の頭の中ですぐにリンクしなかった…><

 

●2●相談対象者がどうやって相談者につながったのか、 をヒアリングすることができた。


●3●情報提供:使えそうな教材の紹介(導入)& 外部の日本語教室の紹介はできた。・その子の母語を使って漢字や数学、 社会などの教科書を学べる教材
・通学先や居住地に近い日本語教室の紹介


*3-1*相談スタッフさんは、 さらに自分で単語集を作ってみることの大切さ( 支援者に依存しないように)も伝えられていた。

( 日本語に限らず外国語学習において大事だな)

 

それから、 勉強したいことを本人から言ってもらうことで、責任を持たせる

 

また、最初は適応で必死だから、 がんばれる気持ちが湧いてくるまで待つことの大切さも。

 

子どもにとっては、根っこが引き抜かれたような状態なので、 いきなり色々教えようとするのではなく、 まず安心感が持てるように根っこを育てて、それから。(喩えもうまい…)

 

日本に来て大変なこともあるけれど、来たことで起こるいいこと、 可能性も伝える。少しでも前向きに現実を捉えられるように。


*3-2* 子どもの母国での学習と日本での学習のギャップについてもうまく 情報提供されていた。

数学の筆算のやり方が違うとか(→ ネイティブのスタッフにも、 実際どんなふうにやるか書いてもらっていた)。

 

日本の算数・ 数学はらせん状に、図形と計量系をじゅんぐりにやるけど、 国によっては、 図形は後でやるので中学生の年齢でも三角形の面積の求め方を知ら ないこともある、など。

 

●4●相談者へのねぎらいや、 今までされてこられた支援へのポジティブなフィードバック
・来てくださってありがとうございます、 ということは私も伝えることができた(というか自然に思った)


*さらに、相談スタッフさんは、「 こうして相談に来てくださっていること、 想いを持っていらっしゃることがお子さんにも不思議と伝わると思います」、と言われていて、ナイス!と思った。


*「こうして来ていただけることで、 こちらも現場のことが分かったり、いろいろ教えていただけて…」 という、相互的な感じの声かけも素敵だなと思った。

 

●5●相談票という文字の記録に落とし込める情報は全てではない


旅行記だっていろんな体験談の文章だってそうだけど、 他者が文章におとしている時点で、 想像している以上に情報はそぎ落とされている

もちろん、 全部書くことはできないんだけど。4割、下手したら5割ぐらい、 情報がカットされている、かも、と思った。

どんなふうに声かけしたか、というところは特に。

引継ぎにおいて必須ではないから、 それはそれでいいのかもしれないが。

背景情報も( これまでの経緯とか、家族のこととか) も意外と書ききられていないかも。個人差もあるけれど。

 

こんな感じかな。
なかなか、すぐに上手にできないのは当たり前だと思うけど、 びびらずに場数をつめるチャンスがあるといい、のかな。

どれくらい、これをやってみたいんだろうな、私。

私がやることが、世界にとっていいのかね?

経験の足りなさみたいなものは、他の、迷い、 悩んでいる人にとってある種の親近感、希望にもなる。

ある程度、 見立てや必要な情報の整理・提供ができることは、 スケールアウトしていく上でも大事( ベーシックなところは多くの先生ができるようになることが理想的 ではあると思う)

から、

やっぱ自分がトライしてみることに意味はありそうだ。

 

そうそう、あと、よかったこと。

ふだん相談の対応とか、相談スタッフの体験・ ライフヒストリーの聞き取りとかをやっていると、
本当はその時間が大事だし好きなはずなのに、
その他の事務が終わらないことが気にかかって妙なストレスがあったのだけど、


まー焦っても仕方ない、終わらんくてもしかたない(!?)、
この時間、目の前の人に集中しよう😍、と思って、
いらないコントロール欲求を手放せたのがよかった。
どう転んでも、だいじょうぶ、という安心感をおぼえていたい。

 

おしまい。