Just Living Diversity

マニラでのソーシャルワークとの出会い記録から、日本のソーシャルワーク×多文化/法的支援、インドで暮らし、働き、旅するカラフルさ、インド&野草ごはん、身体を解すこと、レジリエンス/回復についての試行錯誤を記録したく。 私もあなたも、ゆるく受けいれて生きていけるといいなと祈りながら。

医療通訳と学校(教育関係)通訳との違いとは?~ 正確さとニュアンスの調整  

 
医療通訳と学校(教育関係)通訳との違いとは?~ 正確さとニュアンスの調整

通訳、と聞くと、どんなイメージがわくでしょうか?

言葉をつなぐこと、かもしれない。スピーディでかっこいい感じ? それもあるかもしれない。

通訳が行われている場面によって、通訳のゴールはちがう。

通訳を知ることで、 普段の人との関わりを見直してみるきっかけになるかも、と思い、 記録してみます。

 

医療通訳と学校通訳を両方経験されている方のお話を聞いていると 、

学校(教育関係)の通訳は、言われたことばを直訳すると、 うまくいかないことも多々ある、という。

保護者や子どもの言い分と、先生(担任の先生だったり、 学年主任だったり、校長・副校長・教頭だったり)の言うことと、 そのままストレートに訳すると、とげやいらだちが残ってしまう。

医療通訳や法廷通訳の場合は、事実や正確性が強く求められるし、 通訳一般的に、「足し引きはしない」 のが原則ではあるのだけれど、学校通訳のように、 人と人をつなぐ通訳の時は、言葉のニュアンスを柔らかいものに、 慎重に選ぶという。

目的が、関係性を改善することだから。Mediatorのような 。調停員みたいな。

不満がぶわっと出るシーンもあるけれど、先生が、 子どもや保護者のためによくしてくれていることに、 保護者側に気付いてもらえるようにしたり、保護者側の想いや、 文化の違いによる誤解の可能性を、 先生に認識してもらえるようにしたり。

良い面をお互いに見ていけるように。 良い面を素直に受け止めることは、怒りがわいている時に自分( たち)だけでやるのは、難しいだろう。

 

本人の気持ちを受け止めつつ、 本人の課題に気付いてもらう声かけも必要。そういうシーンは、 母語でだとストレートで、かえって苛立ちを招くこともある。 母語ではない言葉で、 ぎこちなさがありつつも頑張って伝えようとしてくれるケースの方 が、うまくいくこともあるという。たとえば、 南米のポルトガル語話者の方はスペイン語も少しできることが多い そうなのだが(スペイン語ポルトガル語の混ざったような言葉: ポルトニョールと言われる)、スペイン語話者のクライアントに、 ポルトガル語ネイティブがポルトニョールで対応すると、 柔らかく伝わるのだという。完ぺきでないことが、 逆に良い結果を生むって、おもしろいし、豊かだなと思う。

 

気持ちを受け止めながら柔らかく介入する場面…

なかなか、当事者同士だけでは難しいことなんだろう、と思う。

どういう状態になっているのか、 通訳者自身のメタ認知も求められる。

気持ちを重視する通訳、難しく、おもしろいしごとだろうな。

 

なんだか、対人支援系や相談系の仕事に関わっていると、

うーん、支援支援って、なんかそういうのにどっぷりは、疲れる、 感情労働共依存はやだー、 いちばん回復が遅いのは支援者じゃないのかー、なんて、 感じる時もあるけれど、

日々の自分の悩みと照らし合わせて、自分が救われることもある、 と思う。

逆も然りで、自分が悩んできたことが、 クライアントと関わる際の“見立て”に役立つのではないかと。( クライアントそれぞれ、感覚が違うから、 当てはめることはできないけれど)

 

最近ふれた言葉がけや見立てで、素敵だなと思ったことや、 ちょっと耳が痛いわ、と感じたことなど:

・子ども(あるいはパートナーでも?)にイライラを見せるのは、 よくない影響もある。まずは、 あなた自身がよくなっていくことが大事。 気持ちが溜まったときには、相談して、吐き出して。

・自分の課題を認めるのは難しい面もあるから、 外に問題を見つけてそのせいにしちゃうこともあるよね。

・つい、気持ちが高ぶってぶつけてしまうこともあるけれど、 それが求める結果と違うものをもたらしてしまう… こともあるよね、、

・(子ども同士や、学校と、あるいは親子間やパートナー間、 仕事の人でも、そうかも)話し合って、 その場でいったん和解していても、 すぐに仲良くなれるわけじゃない。 時間をかけて少しずつほどき続けていくことや、待つことも大切。 相手に対する敬意を行動で示していくことが大事。(一方で、 相手をコントロールすることはできないから、 いわゆる嫌われる勇気というやつも、 場面によって必要なんだろうと個人的には思う)

・(何かを指摘したい、 改善してもらいたいときのクッションことば) 気付いたことがあったのだけど、~~~なので、~~~ だといいな。 I found that …. It seems that it would be betteri if we can do xx instead of xxx so that xxx…

 

通訳って、必ずしも言語間だけではないし。

同じ言語を話す人の間でも、 違うバックグラウンドの人の間にいると、

通訳的な関わりをしていることがあると思う。

ソーシャルワーカーもそうだろうし、営業の仕事も、 クライアントと自社の人の間の通訳といえるだろう。

 

通訳さんのエピソードを聞くことで、 自分自身の普段の人との関わりを眺め直して、 振り返ることができたら、 いつもの景色がもう少し色彩豊かに見えるかも。